【インタビュー】ホスピスで「日常の風」を届けること
― お花の水替えボランティア・石原さんにインタビュー ―
毎週金曜日の午前、お花の水替えボランティアとしてホスピスを訪れる石原さん。今回は、ボランティアを始めたきっかけや活動の中で感じていることを伺いました。
ボランティアを始めたきっかけ
石原さんがホスピスでのボランティアに関心を持ったのは、仙台グリーフケア研究会で長く共に活動していた当緩和ケア病棟の前師長である牛坂さんの存在が大きかったといいます。
「牛坂さんが講師を務めるボランティア養成講座の時に、ホスピスのティーサービスの様子だったり、夏はかき氷をお渡しするのが人気だって言っていたのが頭の中に印象に残っていて。それからずっと、『ああ、そこでボランティアできたらいいな』ってずっと思っていて。ずっと言いながらも、なかなかここにボランティアに来るっていう結びつきがなくて。」
「いつかここでボランティアしてみたい」・・そんな思いを抱えながら過ごしていたある日、牛坂さんが今年度も養成講座を実施すると聞き、「私もボランティアをやりたいわ」と思ったのが直接のきっかけだったとのことです。
現在は毎週金曜の午前中に、お花の水替え担当として活動されています。
お花を通して起きた変化
活動を始めて大きく変わったことは”お花への向き合い方”。今まで、ご自宅の仏壇の花は“ただ水を替えるだけ”だったそう。
しかし、緩和ケア病棟では、花器をスポンジで洗い、茎を整え、氷を入れて水を満たし、傷んだ部分をていねいに取り除く、そういった作業を行っています。今では「我が家の仏壇の花も、丁寧に扱うようになりました」と、その一連の手仕事が石原さんの日常にも良い影響を与えました。
心のバランスが整う時間
毎週ここに来ることが、“生活のリズム”にもなっていると言います。
「常日頃、嫌なことがあったとしても、ここにいる2時間の間は頭から抜けますし、そうすることで自分の中のバランスがこれでとれているんだなと。例えば問題を抱えていたとしたら、それは無くなりはしないんですけど、そのまま進んでいけるというか。気持ちの切り替えができるってことですかね。そんな感じです。」と、ホスピスでの2時間は石原さんにとって 心がリセットされる時間でもあるようです。
ボランティアとしてのこだわり
石原さんは、患者さんに対して「何かして差し上げよう」と思わないように心がけていると言います。
「患者さんのためとか誰かのためにとかというのはあまり思わないようにしています。自分でそう思っちゃうと私の性格では押しつけになってしまいそうで。だからフラットな気持ちで、お花の水替えに専念しています。」
部屋に入る時の「おはようございます」「お花の水を替えさせていただきます」という短い言葉でのご挨拶。そこには、丁寧にその方の命を尊重する気持ちがあると話されます。
養成講座の際に緩和ケア病棟の亀岡医師が話した、「日常の風を吹かせる」という表現に強く共感されており、自分は“通りすがりの風のようでいい”と語ります。
「とにかくもう、ただ通りすがりで、それでいい。ただその方がお花を見て『きれいだな』と思ったり、もちろん思わなくてもいいんです。お花を見ていただいて『ああ。』と思ってくだされば、それで十分なんです。」と。
12月に行ったインタビューの際も素敵な笑顔を見せてくださった石原さん。優しく穏やかな表情が、患者さんにとって日常の風であり続けることを感じさせてくれます。
スタッフとの関わり
ボランティアコーディネーターの方々については、
「私たちが安心して活動できるよう、いい意味でレールを敷いて下さる。整えてくださっている。私はそこにいて、純粋にそれをやらせていただいて。それが何てありがたいんだろうと。とにかく来て良かったです。私が接する方々はごく少数なんですが、でもその中でもここにいていいよと肯定していただいているような。ありがたいです。」
と語り、受付や看護師などスタッフの方々が日々かけてくれる挨拶や気遣いも、活動を 続ける支えになっているそうです。
今後やってみたいこと
いつか挑戦してみたいのは、ティーサービスでのコーヒー提供 や ハンドマッサージ。
「まだ実技に自信はないけれど、機会があればやってみたい。まずはお花の水替えを一生懸命やって、力がついたら挑戦したいです。」
と、穏やかに話してくださいました。
さいごに
「お花の水を替える」という日常的な作業を通して、患者さんの空間にそっと“日常の風”を届けてくださる石原さん。その姿勢はとても謙虚でありながら、ホスピスに流れる空気をやわらかく整えてくれるような、そんな静かな温かさに満ちていました。
[ボランティアページリンク]
https://spellman.or.jp/volunteer/

