リウマチ内科

リウマチ内科について

“普段どおりの生活を続けられるように”が当科のモットーです。

当科では関節リウマチなどの自己免疫疾患、痛風・高尿酸血症、アレルギー疾患の診療を行っています。これらの疾患では的確な病状の把握をもとに方針を立て、長期にわたる治療を行う必要があります。豊富な治療経験をもとに適切な診断や診療情報を提供することにより、不安無く最良の治療を受けていただき、普通の生活や仕事ができるように努めています。

診療時間

予約制です。
診療時間
午前9:00~11:30平林平林平林平林平林
午後13:00~15:00平林平林平林

・受付は8:30開始。
・第4土曜日は病院全科が休診、月曜日は不在です。
・予約枠は「午前」と「午後」です。
・予約枠内は原則先着順です。(状況により前後することはあります。)
・予約無しの受診は対応できないことがありますので、ご遠慮ください。
・予約枠に受診できなくなった時は、予約変更を承りますのであらかじめご連絡ください。
(診療開始の9時および13時前後は混み合いますので、それ以外の時間にお電話いただけると繋がりやすいです。)
 

新患の方へ

あらかじめ電話にて予約をお取りください。(予約の無い新患の当日対応はしかねます。)
他の医療機関にかかっていて、それと同じ病名で当科に受診する場合は、その医療機関からの診療情報提供書(紹介状)をお持ちください。

喫煙されている方へ

タバコは各種癌、脳卒中、心筋梗塞、COPDをはじめ関節リウマチなどの原因ともなり、「万病の元」です。さらに、タバコは薬の効果を減殺するため治療の大きな障害となります。「完全禁煙」は治療の重要な第一歩であり、何よりもご自身の治療と健康のためです。
当科で診療を受けられる方には「完全禁煙」をお約束して頂いております。自力で禁煙が困難な方には当院の禁煙外来を紹介しております。「何があってもタバコは続ける」という方の診療はお引き受けできません。

疾患の特徴

自己免疫疾患(膠原病)は、本来なら病原体などの敵と戦って自分の身を守るべき“免疫”が、自分の体を敵と見誤って攻撃して壊してしまう厄介な病気です。病気(症状)は体のどこが攻撃対象になってしまうかによります。たとえば、関節リウマチでは関節が攻撃対象となり、炎症が続いて関節が壊されていきます。したがって、壊れないうちに早く診断して、早く治療を開始することがとても重要です。

当科の治療方針と治療成績

どんな病気の治療においても一番大切なことは、“治療の邪魔になるものを極力無くす”ことです。慢性感染症(歯周病、慢性副鼻腔炎、痔瘻など)やその他の合併症はそれぞれ適切な医療機関で治療を受けて頂きます。多すぎる脂肪細胞は炎症を促進するので肥満の方は標準体重を目指していただきます。喫煙している方には減煙ではなく“完全禁煙”して頂きます。これらは治療前も治療中も常に重要で、こうすることによって薬は本来の効果を発揮することができるとともに有害事象を減らすことができます。
関節リウマチの治療は近年大きく進歩し、発症早期であれば病気を完全に抑えて骨や関節の破壊を止めることができるようになりました。当科は治験や市販後調査も数多く手がけており、各種の薬剤に精通しています。それらの経験をもとにさらに工夫を重ねてより優れた治療成績を達成しています。

当科で2008年5月から2019年7月までの約11年の間に、IL-6阻害薬であるトシリズマブ(商品名アクテムラ®)を用いて治療した304 名の方の治療経過です(著書No.14)。DAS28ESR は関節リウマチの病勢を示すスコアで高い程悪く、2.60 未満が寛解と定義されています。
まず、最初の1年間では、治療開始から1 ヶ月でDAS28ESRは2.59と低下して寛解基準に達し、さらに改善していきます。腫脹関節数(平均値)も速やかに減って6 ヶ月後にはほぼ0になっています。関節がまだ壊れていない方では速やかに症状が消失して普段どおりの生活に戻っています。また、骨や関節の障害が進行してしまった方においても、上記のように“どこも腫れていない(炎症の消失)”という状態にまでは改善できます。しかし、脱臼や硬直は内科的には治せません。やはり、早期治療&早期寛解が重要です。


次に、10年間で見ますと、そのままDAS28ESRは1.5前後、腫脹関節数はほぼ0のままで維持されていました。全員に有効で、効かない方や効かなくなった方はいませんでした。


つまり、治療の邪魔を排除して関節内のIL-6を確実に抑制できれば関節リウマチの炎症は確実に消せます。年齢、性別、罹病期間、前治療の内容は無関係です。
また、感染症をはじめ有害事象が増えることはありませんでした。

トシリズマブで治療している患者さんを対象に東北地方で行った大規模臨床調査では、治療開始から6ヶ月以内に腫脹関節数を1以下に抑えて寛解を維持すると、長期間骨破壊が進行しないことが示されています(著書No.13)。
さらに、骨が部分的に欠けた程度であれば時間はかかりますが修復可能になっています。

80歳の方をトシリズマブで3年間治療した経過です。侵食された骨が修復されています。 (著書No.9)

関節リウマチ以外の自己免疫疾患やアレルギー疾患の治療ではステロイド、免疫抑制剤、抗アレルギー剤、補助療法を適切に組み合わせることにより、病気の再燃を抑えて長期寛解の維持を図っています。また、当科は痛風協力医療機関です。

担当医師

平林泰彦(ひらばやし やすひこ)

医学博士 日本内科学会
総合内科専門医 日本リウマチ学会
リウマチ専門医・指導医・評議員
日本臨床薬理学会 指導医

経 歴

昭和61年東北大学医学部卒
平成4年東北大学医学部大学院卒
平成4~7年米国タフツ大学医学部生化学教室
平成7~8年東北労災病院リウマチ膠原病科
平成8~20年東北大学病院血液免疫科
平成20年~光ヶ丘スペルマン病院リウマチ内科

著書・論文

  1. Hirabayashi Y., et al. Clinical efficacy of tocilizumab in patients with active rheumatoid arthritis in real clinical practice. Rheumatol Int 30:1041-8, 2009.
  2. McLaughlin M., Alloza I, Quoc HP, Scott CJ, Hirabayashi Y., and Vandenbroeck K. Inhibition of secretion of interleukin (IL)-12/IL-23 family cytokines by 4-trifluoromethyl-celecoxib is coupled to degradation via the endoplasmic reticulum stress protein HERP. J Biol Chem. 285:6960-6969, 2010.
  3. Hirabayashi Y., et al. The endoplasmic reticulum stress-inducible protein, Herp, is a potential triggering antigen for anti-DNA response. J Immunol. 184:3276-3286, 2010.
  4. Hirabayashi Y., et al. Clinical efficacy of tocilizumab in patients with active rheumatoid arthritis in real clinical practice. Rheumatol Int. 30:1041-8, 2010.
  5. Oka Y, Hirabayashi Y., et al. A single-stranded DNA-cross-reactive immunogenic epitope of human homocysteine-inducible endoplasmic reticulum protein. Scand J Immunol. 74:296-303, 2011.
  6. Hirabayashi Y. Chapter 3: The role of tocilizumab in the treatment of rheumatoid arthritis in “Rheumatoid Arthritis – Treatment” edited by Lemmey AB. InTech open access publisher. Rijeka, Croatia. (2011).
  7. Hirabayashi Y. Chapter 3: Cell death and anti-DNA antibodies. “Apoptosis and Medicine” edited by Ntuli T. InTech open access company. Rijeka, Croatia. (2012).
  8. Hirabayashi Y., et al. ; Michinoku Tocilizumab Study Group. The DAS28-ESR cutoff value necessary to achieve remission under the new Boolean-based remission criteria in patients receiving tocilizumab. Clin Rheumatol. 32(1):123-127, 2013.
  9. Watanabe R, Hirabayashi Y., et al. Dramatic radiographic repair by tocilizumab in a very elderly patient with rheumatoid arthritis. Mod Rheumatol. Nov;24(6):1028-9, 2014.
  10. Nishimoto N, Amano K, Hirabayashi Y., et al. Drug free remission/low disease activity after cessation of tocilizumab (Actemra) monotherapy (DREAM) study. Mod Rheumatol. 2014 Jan;24(1):17-25.
  11. Nishimoto N, Amano K, Hirabayashi Y., et al. Retreatment efficacy and safety of tocilizumab in patients with rheumatoid arthritis in recurrence (RESTORE) study. Mod Rheumatol. 2014 Jan;24(1):26-32.
  12. Ogata A, Atsumi T, Fukuda T, Hirabayashi Y., et al. Results of switching from intravenous to subcutaneous tocilizumab monotherapy in patients with rheumatoid arthritis: Extension of the MUSASHI study. Arthritis Care Res (Hoboken). 2015 Oct;67(10):1354-62.
  13. Hirabayashi Y., et al. ; Michinoku Tocilizumab Study Group. Clinical and structural remission rates increased annually and radiographic progression was continuously inhibited during a 3-year administration of tocilizumab in patients with rheumatoid arthritis: A multi-center, prospective cohort study by the Michinoku Tocilizumab Study Group. Mod Rheumatol. 2016;26(6):828-835.
  14. Hirabayashi Y. Tocilizumab, an anti-interleukin-6 Receptor Antibody, Efficiently Ameliorates Persistent Joint Inflammation in Rheumatoid Arthritis. Mod Rheumatol. 2020 May 18;1-10. doi: 10.1080/14397595.2020.1761078. Online ahead of print.
  15. 平林泰彦 高度肺病変を有する活動性RAに対しトシリズマブで治療しえた2症例 臨床リウマチ. 23(3), p201-206, 2011.
  16. 山本一彦、三森経世、篠原聡、平林泰彦、仲地真一郎 座談会:生物学的製剤を中心とした治療と副作用対策. 日本内科学会雑誌. 100(10), p2998-3017, 2011.
  17. 平林泰彦 サイトカインを標的とした治療:IL-6 最新医学. 66(2), p215 -220, 2011.
  18. 平林泰彦 抗dsDNA抗体の産生機序 臨床リウマチ. 24(2), p153-155, 2012.
  19. 平林泰彦 IL-6標的治療薬 アレルギーの臨床. 32(13), p31-35, 2012.
  20. 平林泰彦 小胞体ストレスと抗DNA抗体産生 臨床免疫・アレルギー科. 59(4), p523-527, 2013.
  21. 平林泰彦 関節リウマチによる骨関節破壊に対するトシリズマブの抑制効果について 臨床リウマチ. 25(4), p242-248, 2013.
  22. 平林泰彦 関節リウマチと歯周病 宮歯会報. 429(6), p14-15, 2013.
  23. 平林泰彦 抗DNA抗体によるIL-1β産生誘導 リウマチ科. 51(4), p449-453, 2014.
  24. 平林泰彦 関節リウマチと歯周病 日本歯科医師会雑誌. 67(3), p197-206, 2014.
  25. 平林泰彦 真菌性関節炎 スピロヘータ関節炎 ウイルス感染と関節炎 リウマチ病学テキスト 改訂第2版(日本リウマチ財団,日本リウマチ学会)